牡蠣に含まれる栄養素 vol.4 ~ビタミン~

牡蠣は“海のミルク”とも言われ、栄養豊富な食材として知られています。
栄養豊富とは知っていても、どのような栄養素が含まれているかについては知らない方も多いと思います。

様々な栄養素が含まれていますので、見ていきましょう。

今回は、ビタミンについて見ていきましょう!!

はじめから確認したい方は、下記ページをご確認ください!
★牡蠣に含まれる栄養素 vol.1 ~栄養素に入る前に…~
★牡蠣に含まれる栄養素 vol.2 ~多量ミネラル~
★牡蠣に含まれる栄養素 vol.3 ~微量ミネラル~ 

健康情報の音声化や動画でのお届けを開始!
「食育ちゃんねる」
よろしければ見てみてください!

③ビタミン(ならびにビタミン様物質)

体内では合成できなかったり、合成できてもごくわずかであり量が足りない微量栄養素がビタミンです。(ビタミン様物質は体内で合成されるので、欠乏症がありません。)

ビタミンB1
“江戸わずらい”とも言われ、江戸時代の不治の病である“脚気”はビタミンB1不足が原因です。
ただし、当時は伝染病と恐れられ、栄養不足が原因と謳った者もいましたが、浸透しませんでした。
年間の脚気死亡者数が1000人を下回るのは、なんと1950年代になってからだと言われています。
炭水化物をエネルギーに変えるために欠かせない栄養素です。

ビタミンB2
発見当初は、成長に関わるもの(growth)と考えられていたことから、ビタミンGと言われていました。
炭水化物・たんぱく質・脂質の3大栄養素の代謝に関わり、エネルギーに変わるのを助けます。

ビタミンB6
ビタミンB欠乏食で飼育したネズミの皮膚炎を予防する物質として見つけられました。
たんぱく質の代謝に関わり、皮膚や神経を正常に保つために必要です。
100種類以上の酵素の補酵素として働きます。

ビタミンB12
悪性貧血の有効成分として葉酸は知られていましたが、それ以外にも何か物質はあると考えられ発見されました。
コバルトを含みます。
ヘモグロビンの生成を助けますし、神経細胞内の核酸やたんぱく質の合成を促すことで、神経系の機能維持にも働きます。

ビタミンE
すでに発見されているビタミンを投与すると発育は完全ですが、ネズミが不妊になるということがありました。
それを改善させる物質として発見されたのがビタミンE。
細胞膜の酸化を抑え、過酸化物質から細胞を守ります。
末梢血管を拡張させ、血行を整える働きも。

葉酸
サルを特定のエサで飼育すると貧血になりますが、これに肝臓や酵母を加えると治ることが分かり、サル(monkey)の頭文字からビタミンMと命名しました。
その後、ほうれん草からも同じ物質が発見されたので、葉酸と名付けられました。
新たな細胞が合成される時(遺伝情報を伴うもの)に必要な栄養素です。
このようなところから、妊娠中や妊娠の可能性のある女性により必要となります。
造血にも関わっています。

ビオチン
卵黄の中から発見。
酵母などの成長に必要な因子(ビオス)を構成している成分であるところから、ビオチンと名付けられました。
ビタミンB群の一種で、腸内細菌により合成されますが、必要量に満たないためビタミンと認められています。
3大栄養素の代謝に関わりますし、皮膚の状態を正常に保つためにも必要とされます。

イノシトール
昔はビタミンB群の仲間として扱われていましたが、体内でもつくれ、欠乏症もないので、今は、ビタミン様物質と言われています。
脂質の代謝に関わり、脂肪肝の予防にも関係すると考えられています。

コリン
私たちの体をつくる細胞は1つずつが細胞膜に覆われています。
その細胞膜をつくるレシチン(脂質)の材料になり、高血圧や動脈硬化を予防すると言われています。
ビタミン様物質のひとつです。

ナイアシン
皮膚炎の一種であるペラグラが、トウモロコシを常食とし動物性たんぱく質摂取の少ない地方で多いことが知られ、食物との関係が考えられていました。
実は古くから発見されてはいましたが、その生理作用については研究者たちも気づいていなかったようです。
アミノ酸のトリプトファンからもつくられます。
補酵素として様々な代謝に関わります。

~参考書籍~ 
稲垣長典、ビタミン、光生館、1980
吉田企世子 松田早苗、あたらしい栄養学、高橋書店、2010


よく“ビタミンは摂ったほうがいい”とは聞かれると思いますが、ミネラルと同じく何にどういいのかというところまでは知らなかったと思います。
また、それぞれのビタミンの発見に至るまでを知ることで、興味を持っていただければ…。

栄養素について少しでも詳しく知るきっかけになればうれしいです。

次回は、アミノ酸編(その1)です。

続きはこちら!
★牡蠣に含まれる栄養素 vol.5 ~アミノ酸 その1~